Camaro'n

 稀代のフラメンコ歌手、カマロンが死ぬ直前に録音したPOTRO DE RABIA Y MIELを聴きながら珈琲を飲んでました。ギターは勿論Paco de Lucia

 実はカマロンのCDは結構たくさん持っているのだけれども、最初から二番目に買ったこのCDを一番聴いている。神戸は元町のヴァージンレコードで買った。インド生まれの瞑想者、OSHOによれば人は死ぬ半年前からオーラに変化が起こり始めると言う。時折死ぬ前にあたかも死を予感していたかのような行動をしていた人がいるが、それはどこかで微妙な自分自身のエネルギーの変化に気付いていたからであろうと推測される。

 カマロンも、気付いていたのではないか、そう思う。実際、7曲目のEres como un laberinto(情熱の迷路)では、

A un sabio le pregunte'
que' hay despue's de la muerte
y el sabio me respondio'
eso nadie sabra'
tan so'lo lo sabe Dios.

(賢者に尋ねた
 死の後になにがあるかと
 賢者は答えた
 それは誰にもわからない
 ただ、神のみぞ知ると)

と歌っている。それになにより聴いていて、感じられるのだ。このアルバム以前のカマロンの声との微妙な違いを。それは年齢や体調による声の変化だけではなく、静かに身体と心を音にまかせて聴き入る内に自分の内面に感じられる印象や連想の違いとして知覚される。神に自らの全てをゆだねてしまうような深い祈りのような何かが聴いていて感じられるのだ。