夏目漱石の自転車日記

 今日もまた雨降りにつき外にでかけず、家でネットに向かっていたら、夏目漱石の作品に「自転車日記」なるものがあることを発見。青空文庫なので買わずともウェブで閲覧可能。

自転車日記 http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/768_14947.html

文体が昔のものなので、幾分読みにくいところはあるけれども、夏目漱石の自転車相手に苦闘する様子がなんとも愉快である。現在で乗るのにこんなに苦闘する自転車と言えばパナソニックのロデオくらいしかないであろう。

ロデオ http://homepage1.nifty.com/pekopokonet/noru/rodeo/rodeotop.html

話を自転車日記に戻すと、夏目漱石がここまで苦労するということは、おそらくあのタイヤの非常に大きなオーディナリー式自転車であったのではないかと思われる。USJで見かけたオーディナリー自転車を載せた私のサイトのページを紹介しておこう。

USJのオーディナリー自転車 http://plaza.rakuten.co.jp/metro7/3000

この味のある傷み具合から言ってUSJにさりげなく置いてあったこれもかなりレアな物だが、これではそんなに苦労はしなさそうだ。やっぱりもっと極端に背の高いオーディナリー型自転車(ダルマ型自転車とも言う)だったのだろう。そう思いつつ、他にもっとすごいオーディナリー自転車の写真を載せたサイトはないかと探していたら・・・あった!

日本のオーディナリー型自転車の歴史 http://www.eva.hi-ho.ne.jp/ordinary/ordinary/index2.html

相当に背が高いものもあります(驚)。こけたら大変・・・。実際、自転車日記でも漱石は何度も落車してあちこち怪我をしている。

>余が廿貫目の婆さんに降参して自転車責に遇(あ)ってより以来、
>大落五度小落はその数を知らず、
>或時は石垣にぶつかって向脛(むこうずね)を擦(す)りむき、
>或る時は立木に突き当って生爪(なまづめ)を剥(は)がす、
>その苦戦云うばかりなし、しかしてついに物にならざるなり、

要するに今の自転車とは比べものにならないくらいコントロールするのが困難だったのですね。しかもそこまでしても「ついに物にならざるなり」とは・・・。

ハンドリングの描写もすごい。

>ハンドルはもっとも危険の道具にして、
>一度(ひとた)びこれを握るときは
>人目を眩(くらま)せしむるに足る
>目勇(めざま)しき働きをなすものなり

どんなハンドルなんだ?って思います。危険道具って・・・。

しかしながら、英国留学中にオーディナリー自転車と必死に格闘する夏目漱石の姿が目に浮かんでくる、ある意味ほのぼのとした日記です。どこまで真剣でどこからユーモアで書いているのか、それがわからないところがまたほのぼのしていていいのかもしれません。