誘拐ー誘拐犯の珍しい要求ー

 ガブリエル・ガルシア=マルケスの「誘拐」の後書き、p.353からp.354にかけて一部抜粋。

 また、密輸組織と直接関係はないようだが、九六年初めにはガビリア前大統領の弟が誘拐され、犯人側はガルシア=マルケスが大統領になることを要求のひとつとしてかかげてきたという。

 G・ガルシア=マルケスはコロンビア北部アラカタカ生まれのノーベル賞作家で、もちろん発言には国際的に強い影響力があると思われますが、それにしても誘拐犯の要求が彼が大統領になること、というのはすごいですね。日本で喩えるなら森前首相の兄弟を誘拐して、大江健三郎が首相になることを要求するようなものでしょうか。ガルシア=マルケス本人は相手にしなかったそうですが・・・。

 97年にはガルシア=マルケスはコロンビアを離れ、再びメキシコに移り住んでいます。コロンビアの国内状況が不穏で執筆に適さないという理由。なかなかたいへんな国のようです。