妻も家内もどっちもどっちだなあ

 こぐさんが、あらたまった場所において配偶者のあゆこさんのことをなんと呼ぶか悩んでおられるのです。
http://d.hatena.ne.jp/kogkog/20050213#1108293608
http://d.hatena.ne.jp/kogkog/20050210#1108026355
2/10の日記より↓

自分の配偶者をさして「妻(つま)」を用いるのはおかしい。年長者と話していて、そう注意されました。

うるせー、大きなお世話だい、とは思ったものの、よく考えてみると、そのとおりかもしれません。

いや、「妻(つま)」でも問題ないのかもしれません。でもそれに違和感をおぼえる人のいることを知りました。


それ以来、あらたまった場では「家内(かない)」を用いるようにしています。

その年長者殿はそんなに立派な日本語の知識を持った方だったのでしょうか。おかしいと言ってるほうがおかしかったりするのもよくある話。「俺のほうが年上だから英語ができる」と主張する馬鹿はそうそういませんが、なぜか日本語となると「最近の日本語は乱れてる」と言って、辞書を引くこともなければ、フィールドワークを行うこともなく、自らの正当性を盲信する年長者が多いように見えます。その年長者に根拠を問い詰められればよかったのにとも思いますが、そうもいかない事情もあったのでしょう。

 私がかつて勤めていた某地方自治体における会話では年配の方も含めて妻派7:家内派3くらいの割合だったような記憶があります。こぐさんが例文として用いられた「今日は○○が病気なもので〜」と言うような文章においてもそうだったような。 
それはさておき、こういう文章を読むと、やはり「妻」という言葉と「家内」という言葉の違いについて調べてみたくなります。こんなブログを見つけました。
http://www.idealbreak.jp/idealbreak/2005/02/post_2.html
こぐ日記のコメント欄では、家内と言う言葉の突っ込みは結構あったのに、妻と言う言葉のほうにはあまり突っ込みが入らなかったように思います。私もそちらのほうを深く調べることは忘れていました。こちらのblogによりますと、

夫に連れ添うもの(出典)。あくまでも夫が主体で連れ添うのが妻。

だそうで、出典はhttp://www.d9.dion.ne.jp/~toyobook/tu.html

つま〔妻・夫〕
【語源】 「添」上古音t'2m,字義=そう。 〔※国語では,つれそう,夫または妻となってつれそう,の意味に用いる。」
【語誌】 「添」の上古音t'2mが訛って「tum-a→つま」という原始日本語を派生させた。
【語義】 (1)夫に連れ添うひと。つまり,“つま〔妻〕”。
(2)妻に連れ添うひと。つまり,“つま〔夫〕”。
(3)“さしみ”に添える物。すなわち,“つま”。
【参考】 古語辞典は,「つま〔端〕」と同じ語源としているが,不可。 日本語は,たいせつな同伴者を“端っこ”と呼ぶような,いいかげんな語義を持っていない。

 男の場合でも女の場合でも連れ添っているほうが「つま」と呼ばれるそうなので、「妻」と言う言葉のほうにも「主体ではなく連れ添っている者」というニュアンスがあるようです。調べてみたらさらに話がややこしくなりました(笑)。

 言葉が差別や抑圧の道具に使われたかどうかということではなく、女性の配偶者を表す言葉が作られたのが、まだ男女平等の人権意識がしっかりしていなかった時代だということだと思うのです。実質のほうは変化しているのに、それを表現する言葉のほうが変化していない。なにか新しい言葉が必要とされている。そういうことだと思います。