なかなか今の日本にとってタイムリーなテーマだなあと思って気軽に手に取ってみた。
発行年は1998年で、日本版金融ビッグバンが開始されたり、初代iMacやWindows98が発売されて、
インターネットがそれまでにくらべて身近なものになり始めた頃だ。
その頃に国家の衰亡を日本の衰亡としっかり結びつけて考え、イギリス、ローマ帝国、ビザンチン帝国、
中国、アメリカ合衆国、日本の江戸時代などを題材として考察してみたところは評価できる。
参考までに、各章のタイトルを写しておく。
序章 愚かなるオプティミズム
第一章 衰退とは何か
第二章 衰退を考える視点
第三章 大英帝国衰退の光景
第四章 ローマの衰退とビザンチンの叡智
第五章 衰退の行方を決める文明の構造
第六章 江戸時代の衰退と改革ー日本型再生の原点
第七章 衰退する現代日本
ケンブリッジ大学院に留学していた影響なのかもしれないが、
イギリス、アメリカ合衆国のアングロサクソンを理想化しすぎているきらいは否めない。
1998〜2010の間に現実に日本が弱くなっているという点では、先見の明があるといえなくもないが、
21世紀になってからアメリカ合衆国がダメダメな点については、あまり予想できなかったのではないだろうか。
- 作者: 中西輝政
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 1998/10
- メディア: 新書
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後半部分で、ベネチアやイギリスのリーダー育成の伝統について述べられているが、
こちらはなかなか興味ひかれる話である。ベネチアでは政治家の人生最後の国家への義務は、
セミナリオで講義して次世代に自分達の経験とノウハウを伝えることだったというのは興味深い。
それ以外にも、いろいろ言いたいことはあるが、amazonのレビューで他の人が既に書いてくれてることが多いので、そちらを読んでくださいませ。
著者について検索してみたら、wikipediaでヒットしたので、リンクを張っておく。
中西輝政 - Wikipedia
はてなキーワードの中西輝政のところに、世界日報にしばしば登場すると書かれているのが、
なんだか怪しくて気になるところではある。鵜呑みにしないように特に気をつけて読むべき人なのかも。
これで、新書300冊計画の4冊目。