貧困ビジネス

貧困ビジネス (幻冬舎新書)

貧困ビジネス (幻冬舎新書)



 タイトルの「貧困ビジネス」とは何か?
NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長の湯浅誠氏によると、
貧困層をターゲットにしていて、かつ貧困からの脱却に資することなく、貧困を固定化するビジネス」
だそうである。著者によると、この本では定義をもう少し緩くして、
貧困層をメインのターゲットにして、短期的な利益を追求するビジネス全般」
貧困ビジネスと呼ぶことにすると再定義されている。


では貧困ビジネスのターゲットとは?
ワーキングプア,短気派遣労働者,生活保護受給者,ホームレス,ネットカフェ難民,多重債務者などなど、
昨今のニュースとか、NHKクローズアップ現代等のドキュメンタリー番組でよく聞くキーワードばかりだ。
今は貧困層が増えているので、マーケットとしては富裕層以上に大きいが、貧困ビジネスが世の中の役に立つかどうかは
大きな疑問があるということらしい。


貧困ビジネスは、
・合法的なビジネス(激安ディスカウントストア,100円ショップ,ジャンクフード)
・グレーゾーンのビジネス(一部のゼロゼロ物件ビジネス,名ばかり管理職,日雇い派遣労働者)
・非合法なビジネス(ヤミ金融,ニセの養子縁組,偽装結婚,多重派遣,偽装請負
と3つに分かれると書いてある。


非合法なビジネス以外は、自分の生活から結構近いところにあるような気がする。
某大手日雇い派遣会社では一度働いたことあるけど、バイト内で怪我や事故の噂の話ばかり流れてくるので、
こわくなってやめたことがある。目次には、

第1章 食いものにされるワーキングプア
第2章 世界中に蔓延する「貧困ビジネス
第3章 ますます悲惨な非正規雇用の実態
第4章 「安全」より「安さ」を選ぶしかない人たち
第5章 台頭する貧困対応型セックス・ビジネス
第6章 「規制強化」は貧困層を救うのか

と書かれている。第1章は、最近のニュースや新聞、ドキュメンタリーでお馴染みの話題が多い。
漫画で言うと「ナニワ金融道」的な世界。
第2章は貧困ビジネスは日本だけじゃないよ、世界にもありますよという話。
臓器売買とか、乞食しやすいように生まれた子供の手足を切り落とす話とか、こわい話が多い。
小説で言うと「闇の子供たち」の世界。
第3章は日雇い派遣偽装請負が主な話。第4章は中国製の冷凍食品やジャンクフードなどがメイン。
第5章は最近の風俗業の懐事情といったところか。マクドナルドでAV撮影して逮捕とか、そら捕まるやろ(爆)
第6章はタイトルそのまま。金融に規制をかけたり、クレジットカードの審査を厳しくして、それで貧困層の生活は楽になるのか?
生活保護行政は、いかにあるべきか?という問題提起。


結構ヘビーな内容ではありますが、知っておいたほうが良いことなのでしょう。
この本が新書300冊計画の10冊目。