蚊が脳梗塞を治す!昆虫能力の驚異

 昆虫由来の技術、インセクトテクノロジーの本。


帯には、「人類の明日地球環境は昆虫の力で守る!」
「がんの治療薬も無痛の注射針も人工皮膚も!」
「昆虫の利用ではなく、その力を借りることが技術の先にある真に豊かな社会をつくる!」
とたいへん気合の入った文章が書かれています。

蚊が脳梗塞を治す!昆虫能力の驚異 (講談社+α新書)

蚊が脳梗塞を治す!昆虫能力の驚異 (講談社+α新書)

古来よりあるシルクが、今どのように技術発展しているのか、
昆虫の生体防御システムや免疫のお話、紫外線対策にワイルドシルク、
カブトエビを使って無農薬でお米を栽培、シルクを食品に添加、
東南アジアのシロアリの巣に学ぶ家作り、
ローテク、ローコストな「千年持続社会」の構築を目指す、等々。


amazonのレビューでは、タイトルの「蚊が脳梗塞を治す」話の割合が、
余りにも少なく、著者の専門のシルクについての文章が多すぎるという批判もありますが、
確かにシルクについての記述が多いものの、全体としては内容は多岐に渡っていて、
興味深い知識がたくさん得られる本だと思いました。


タイトルの件は、蚊の唾液には人体に無害な血液を固まらせない成分が含まれているので、
それを応用すれば脳梗塞に効く薬ができるのでは?という方向で研究が進んでいますよということ。


もちろん新書ですから、そんなにディープな本ではありませんが、
特に昆虫や工学等を専攻していない人に対して、インセクトテクノロジーの世界を紹介するという
役割を立派に果たしている啓発的な良書だと思います。
虫好き、エコ好き、理科好き、生物好き、科学好きにはお勧め!


というわけで、新書300冊計画の12冊目でした。