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ケンカ白熱教室!放射能はどこまで安全か?

新書300冊

 京都大学原子炉実験所 助教 小出裕章 vs 日本原子力開発機構 小林泰彦
どちらも原子力の専門家でありながら、立場が対照的な2人が意見をぶつけあうという趣旨。
福島第一原子力発電所事故以後、福島県外のホットスポットがたくさんある地域の代表格として有名になってしまった千葉県柏市で、2013年1月19日に催された講演会「放射線対策と原発の明日 2013」をもとに編集された本です。


とはいえ、どちらも科学者だけあって、よくtwitter上で見かけられるような、罵詈雑言の応酬になったりはしていません。紳士的に淡々と、科学の知見と、自分の意見を語っています。それでも両者で大きく意見が分かれるところが多いのが、このトピックの複雑なところです。例えば、小林氏は柏市放射能汚染状況について、これくらいなら孫と一緒に住んだって全然平気と言っていますし、小出氏は、1平方メートルあたり4万ベクレルを超えるような地域に普通の人が住むということ自体に反対しています。


基本的に、できるだけ被曝しない方向を求めたい人は小出氏、これくらいは大丈夫(柏市の場合)と安心したい人は小林氏の言い分に、より同調したくなるんじゃなかなと思いました。でも自分としては、2人は補完的な存在で、普段小出氏に耳を傾ける人に小林氏の書いてることも読んでほしいし、小林氏のような視点の人が好きな人にも、小出氏の指摘するような現実にも注目してほしいと思いました。
また、2人とも、線量をしっかり計測し続けて、子どもの被曝ができるだけ少なくなるように努力していかなければならないという点では、意見は一致しているように思います。2人とも、子ども達が接する場所の除染について肯定的です。

新書300冊計画の45冊目でした。