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漫画家の書いた本を3冊

新書300冊 漫画

 

水木サンの幸福論 (角川文庫)

水木サンの幸福論 (角川文庫)

 

 タイトルは幸福論が表に出ているし、実際p.9-p.25までは幸福の7カ条について書かれているけれど、その後の p.27-p.184までは水木さんの「私の履歴書」で、自叙伝となっている。生まれたところが大阪市住吉区だったり、ペンネームの由来が神戸市兵庫区水木通の水木だったり、案外自分が知っている土地とゆかりのある人なんだなあと知ると、ちょっと不思議な気分がする。あまりにも、水木しげるロードのある、鳥取県境港市の印象が強かったからかもしれない。

小学校に一年遅れて入ったとか、ガキ大将だったとか、兵隊にとられてラバウルに送られて左手を爆撃で失ってその後現地の人々と仲良くなって帰国が惜しかったとか、職を転々とした後紙芝居を描いて貸本マンガを描いてゲゲゲの鬼太郎で漫画家としてヒットして忙しくなったとか、そういう水木さんの人生のストーリーは今時ネットのあちこちでいくらでも載ってそうなので割愛。中身は濃くて面白かった。

そんなことに今更いちいち驚いていることからわかるように、「ゲゲゲの女房」は全く見ていなかったのでした。この本を読んだ後となっては、NHKの朝ドラとしては、面白いドラマだったかもしれないなあと思う。

  こちらは水木しげるにインタビューする形で書かれた本なんだけど、質問が真面目すぎて水木さんも真剣に答えざるを得なくて、結果としてはイマイチ面白くない水木しげるらしからぬ説教臭さが、ところどころ臭ってしまう本になってしまっている印象。見かけによらず(?)、抜け目なくてお金にも貪欲な人なんだなあと感じた。なんていうか、ちょっと青木雄二入ってる感じ。「水木さんの幸福論」のほうがずっと面白い。まあ好みがあるから、人によってはこっちの本が好きという人もいるだろうけど。

巻末に収録されている「幸福の甘き香り」はねずみ男が主役で、シュールなストーリーが面白い。

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

 

  またこの4/1からアニメでジョジョの奇妙な冒険が始まるけれども、その作者の荒木飛呂彦さんの書いた漫画術指南。本のはじめにこう書いてある。

本書は、「王道漫画の描き方」について解説することを目的とした本で、簡単に言うと「ハウツー本」です。

「漫画の描き方」のハウツー本ですから、この本の読者には「漫画を描きたい」というごく少数の人たちを想定することになってしまいます。ここに書かれていることを読んで本当に漫画家になるのは数人かもしれないし、もしかしたら、たったひとりいるかどうか。

僕にとっては、漫画そのものを描いた方が大勢の読者に読んでもらうことができるのですが、それでも、そのたったひとりのために、この本を書きたいと思います。 

もちろん、自分は漫画を描くこともなければ描いたこともないのだけど、荒木飛呂彦の漫画は、魔少年ビーティーバオー来訪者、ゴージャスキャサリンあたりの初期の作品から読んでいるので、この人が一体どんなことを考えて漫画を描いているのかということは、とても興味が湧いてくること。

 というか、最初に漫画家を目指す人向きと断言しているけれど、本当のターゲットは漫画家志望ではない人も含めた、ジョジョファンを主体とした荒木飛呂彦ファンなんだろうなあと推測する。そうでなかったら出版社もやらないでしょうし、中身を開いてみると、確かに本当に読んでもらえる漫画を描く上で大事なことがたくさん書かれているのだけれど、ジョジョのときはこうしたとか、バオー来訪者の失敗はこうだったとか、荒木ファンが飛びつきたくなるようなエピソードで溢れているし、漫画を描くことに微塵も興味がなくても読んでいて全然退屈しない本。

また、漫画でなくても文章を書く人、プレゼンテーションする人、動画を作る人など、物語を伴う創作をする人には一読をお勧めしたい内容で、買って損しない感あり。

 

 

新書300冊計画の48,49,50冊目でした。もうこのカテゴリ更新しなくてもいいような気もしつつ、相変わらずたまに更新されるのでした。もはや300冊というのは最初についたタイトルだから続けてるだけで、本気で目指してません。