大峰山

 奈良県の南部に大峰山という山がある。修験道の聖地だとか伝統だとか、説得力のない理由で女人禁制が続けられている。女人禁制の地域には、国立公園も含まれている。これは、たとえばカトリック教会が自らの所有する土地にある修道院に女子禁制や男子禁制のところがあるのとは大きく異なる。男女平等をはっきりと謳った日本国憲法をもつ日本国の国立公園に女性が入ることを禁止する権限を大峰山寺が持っているわけはないと思うのだ。山が好きな人のなかにもこのことについて、問題意識を持たれている方がいるようだ。

http://www3.osk.3web.ne.jp/~fujitake/keijiban.htm

上記サイトを紹介したのは、わかりやすく、それでいて要点がきちんと整理されているからだ。

 美しい山、それも国立公園、つまりは公共のものに対して一部の人権意識のない偏った信仰を持つ者達が女性の登山を妨げているという事実。

この大峰山寺は奈良県内の中学校等に校外活動や宿泊訓練の地として選ばれることが多かったのだが(筆者の中学時代の話であり、今はどうか知らない)、中学教師の話によると、山の切り立った崖から下を見下ろすようなかっこうで逆さ吊りにさせられ、「親孝行するかー?」とか「兄弟仲良くするかー?」とか馬鹿みたいなことを僧侶によって怒鳴り声でたずねられるそうである。「はい!」と言わないと、足を持っている僧侶達が崖に落としかけるような動きをして生徒を揺さ振るそうだ。

これって、宗教と呼ばずに拷問と呼ぶと思いますが?
拷問や、脅迫による自白は無効って知りませんか?

 時代錯誤の女人禁制を行い、遠方からはるばる参拝しにきた男子には崖から宙吊りにして脅迫、拷問を行う。そんなところにお金を払って行きたくないと考え、中学校の宿泊訓練は欠席しました。

それ以前に公立の中学校が、特定の宗教の行事に強制参加させられるような宿泊訓練のプログラムを組むことそれ自体がおかしいと思うのです。奈良に来たから有名な東大寺を見学、くらいならともかく、修験道という極めて特殊でマイナーな宗教の、断崖絶壁から吊るされて道徳を説かれるというこれまた極めて特殊かつ苦痛をともなう宗教行事に参加させられるというのは明らかに不当です。

また、女子にいたっては、大峰山は女人禁制で入れないということで、近くまで行って別の山に滞在すると言うことでしたが、大峰山の女人禁制の背景には女性は穢れているという思想がありますので、あえてこんなプログラムを組むこと自体、女子に対する嫌がらせのように感じました。

 さて、巷でも女人禁制廃止にむけて運動は行われているようです。
http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/shakai/20040224/20040224a4250.html
ユネスコ世界遺産に登録される予定だとか。私は今住んでいる町で「大峰山の女人禁制は奈良県の恥だ」と書いてある看板を見つけたことがありますが、世界遺産登録ともなりますと、世界中から人が来て、奈良県の恥どころではすまず、日本の恥、世界の恥になってしまうかもしれませんね。そして、しまいに米国の人権団体あたりにめっちゃくちゃ抗議されて、やむをえず女人禁制を解くという非常にかっこわるいことをすることになるでしょう。今のうちに女人禁制やめといたほうがいいと思ったりする。