出口王仁三郎 vs 野口晴哉

 戦前に大弾圧を受けたことで有名な大本教の実質上の教祖、出口王仁三郎と、
整体の世界で名前を知らない者はいない野口晴哉
そんな2人が少しだけ出会ったときのやりとりが、ナンバ走法で名を知られる古武道研究家の甲野善紀氏と、
精神科医で評論家の名越康文氏の対談集、薄氷の踏み方に書かれていた。p.175〜p.176にかけて。

甲野 王仁三郎は一時期いろいろな人材をとにかく大本に抱えようとしたんです。右翼の巨頭の頭山満内田良平も来ていましたし、左翼や同和関係の人たちもたくさん来ていたそうです。今東光も当時としては大変な額の支度金付きで誘われたけど、決心して天台宗に入ったこともあり、心が動いたけれども断ったという話も残っています。
 それで野口先生にも声がかかったようですが、その誘い方が、普通じゃないんですね。「自分は地球の回る音が耳に付いて、眠れなくて困っている」と、禅の公案のような問いを投げかけた。すると野口先生は「私には地球は止められませんから、それは治せません」と応えたそうです。(笑)

 結局、野口晴哉出口王仁三郎の誘いには乗らなかったということなのだろう。
しかし、この誘い方、真面目に誘う気があるようには思えない感じ(笑)
それとも、これは分かる人には分かる話で、この時の2人にとっては、物凄く真剣なやりとりの一瞬だったのだろうか。


天才と呼ばれるような人達の言動には、謎が多いものだ…


薄氷の踏み方