日本の無戸籍者

  日本に一万人くらいはいるとされている、戸籍のない人々。

理由はいくつかあるのだけれど、日本社会で生きる上ではないと生活が大変。普通の人が当たり前にしてることが不可能になってしまったりする。

だから何とか戸籍を手に入れようとがんばる無戸籍者の人がいて、支援団体も存在するのだけれども、いろいろ法律にバグがあって戸籍を手に入れるのは大変な努力を要求される。

著者の井戸まさえさんは、NPO代表として無戸籍問題の支援を長年してきた人。

民法の再婚禁止規定、戸籍と無戸籍者の歴史、旧樺太やサハリンで無戸籍者になってしまった人達の話、沖縄独特の戦後の戸籍事情、東日本大震災時に被災した市の戸籍業務、グローバリゼーションと二重国籍問題など、話題は多岐にわたる。

重婚も二重国籍も、やり方によっては現行法の下でもできるのだという話にはびっくりした。

最後の第6章は「戸籍がなくなる日」。マイナンバーと戸籍がひも付けされると本籍の機能がいらなくなり、戸籍の「戸籍たる柱」が消えるのだとか。法定受託事務である戸籍は自治体にとっては全くうまみがないので、もしかするとある日突然「戸籍がなくなる日」が来るのかもしれないと書いてあったのが印象的だった。

日本の無戸籍者 (岩波新書)

日本の無戸籍者 (岩波新書)

 

 新書300冊計画の56冊目でした。