賞味期限のウソ

  何事も出だしが大事とはよく言われる話。この本はその意味でとてもつかみが上手でした。

 第1章、賞味期限のウソで一番最初に出てくるのは、実は卵は賞味期限よりずっと長持ち(冬場)という話。気温が大体10度以下の冬場であれば、産卵から57日近くも生で食べられるそうです。どうしてそういうことになっているかというと、夏場に生で食べることを前提として賞味期限が決められているから。夏場はパック後14日間。

おおー、これは目から鱗。これを知っていれば、冬は賞味期限が過ぎた卵が残っていても、無駄にしなくて済みそうです。まあ個人的には卵はせいぜい10個パックのを1パックずつ買う程度なので、卵を買って冷蔵庫に入れた直後に長期旅行などに出かけてしまわない限りは、そんな心配はあまりなさそうなのですが。

なお海外の卵の賞味期限が長いのは、加熱調理して食べることが前提だからだそうです。加熱しましょう。

後の頁で、筆者はサルモネラ菌が怖いから賞味期限が過ぎた卵は加熱調理して食べましょうとも書いてあって、大丈夫とは思うけど予防線も張っとくみたいな感じなのかなと思いました。あと、卵をちゃんと冷蔵して売ってるお店と、常温の場所で売ってるお店があるので、よく気をつけて買う店を選びましょうとも書かれています。

 で、役に立つ話だな~面白いな~と思ってページを勧めると、賞味期限が短い食品業界の事情について詳しく書かれています。

2章の「これ食べられる?を自分で判断する8つのポイント」も、カビに注意するべきかどうかを判断するために水分量15%ラインを知っておこうなど、有益な情報がいくつか。

 一方、第3章から第5章は、一言でまとめてしまうと、「フードロスをなくそう!それにはどうしたらいいか」と言った内容で、筆者の問題意識の中心がどこにあるのかが見えてくる感じがしました。特に第5章の「食べものをシェアする生き方」は、コロナ禍や格差社会、貧困問題などで必要な食事ができていない人が増えてきている今日、もっと広げる必要のあることだろうと思います。

新書300冊計画の55冊目でした。