幸福王国ブータンの知恵

 正月用に図書館から何冊か本を借りてきたのだけど、そのうちの1冊。

幸福王国ブータンの智恵

幸福王国ブータンの智恵

なんとなく、幸福な人の多い国らしい、というイメージのブータン
行ったことないし友達にブータン人もいないので、本当のところよくわからないけど、
ブータンって国名自体が癒し系な感じがする。
なんとなくでは心許ないので、もう少しだけ知ってみようと思った。

一章 大きな国はめざしません 政治編
二章 お金持ちにはなりません 経済編
三章 自然を守ることがいちばん大事です 社会編
四章 ゆっくり幸福になります 暮らし編

目次の次に、ブータン王国のデータが掲載されているのだけど、
人口が634982人、病院が29軒、医者が145人、公立学校221校、私立学校19校、自動車29914台。
国としての規模が、日本と比較するとかなりコンパクトだ。
平均寿命は男66.0歳で女66.2歳。長生きしすぎないほうが幸せなのかなあと思う(冗)日本人の私。
ん?平均寿命の男女差がほとんどないぞ!


GNPやGDPよりもGNH(国民総幸福)が国の基本的コンセプトで、憲法にも明記されているそうな。
国民の幸せのためのガイドラインは4つある:

・「持続可能で公平な社会経済開発」
・「ヒマラヤの自然環境の保護」
・「有形・無形文化財の保護と推進」
・「よい統治」



 周りに巻き込まれて近代化するのではなく、自分達の伝統と調和した形での
幸せな近代化を常に念頭に置いているという印象。個人と共同体のバランスも大事。
公用語はゾンカ語だけど、小学校から英語を教えてるから小学生も英語ペラペラ。
アメリカみたいな大国とは付き合い控え、インドやスイスと仲良し。
国際政治のパワーバランスの外側にスタンスを取る戦略。
民主主義を一生懸命進めたのは、なんと国王自身。水力発電の電力をインドに輸出。
観光の価格設定を高めにしてガイドをつけて、ヒッピー等が居座るのを防いだ。
(これはちょっとあざとい気がするが、同時にビジネスセンスがあるなあとも思った)
もともと飢饉がほとんどない自然に恵まれた国らしい。
教育費と病院は無料。水道費は田舎で無料で都会で有料。国中で禁煙。
チベット仏教で伝統的には母系社会で、意外にも離婚は多いと。
(離婚したい人がすんなり離婚できる国のほうが幸せだと思う)


ブータン王国の政策は、ブータンの地理的環境や伝統等の条件あってのものだけど、
コンセプトの一つ一つは、他の国の政治を考える上でも参考になるような感じ。


それにしても、本を読む限り、素晴らしい王様。
読後感がなんとなく幸せな感じで、おすすめの一冊。