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日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体

 なかなか強烈なタイトルの新書が発売されるようだ。「タガメ女」というキーワードをぱっと見た感じ、ドラえもんに出てくる、ジャイアンの母ちゃんみたいなのをイメージしてしまったけれども、そうではないみたい。小学校時代にタガメをクラスで飼育していたおいらにとっては、ものすごく具体的なイメージが湧いてしまうタイトルではある。
amazonの内容の紹介のところには、

タガメとは田んぼに生息してカエルの生き血を吸う昆虫。高度成長期以後、日本の各地から田園風景が消える中、タガメの魂は女性たちに宿り、無抵抗な「カエル男」を箍(タガ)にハメて搾取している。すなわち「タガメ女」は「箍女」でもある。気鋭の研究者が、自らの研究過程やゼミ生からの証言をもとに、「専業主婦」「家事手伝い」という姿で女性が現代日本を支配する特異な現象を、ユーモアを交えて実証する。

と書かれている。実際には、タガメにとっては他の昆虫や小魚も捕食の対象。いつもカエルを食べている訳ではない。また、体外消化で肉を食べているのであって、血を吸って生きている訳ではない。それらのディテールが押さえられていないのも、タガメが今や農薬や護岸工事等の環境破壊によって絶滅危惧種になってしまい、タガメを一度も見たことがない人が増えていることとも無縁ではないだろう。
ウィキペディアのタガメの記事には、こう書かれている。

肉食性で、魚やカエル、他の水生昆虫などを捕食する。時にはヘビやカメ等の爬虫類やネズミ等の小型哺乳類をも捕食する。鎌状の前脚で捕獲し、針状の口吻を突き刺して消化液を送り込み、消化液で溶けた液状の肉を吸う(「獲物の血を吸う」と表記した図鑑や文献もあるが、体外消化によって肉を食べているのであり、血を吸っているわけではない。タガメに食べられた生物は、骨と皮膚のみが残る)。自分より大きな獲物を捕らえることが多い。その獰猛さから「水中のギャング」とも呼ばれ、かつて個体数が多かった時には、養魚池のキンギョやメダカ等を食い荒らす害虫指定もされていた。

しかし、例として用いるにはやはりカエルがユーモラスで良いのだろう。


 本題からずれてしまったけれども、この本の取り上げているテーマは面白いと思う。
楽天ブックスの、この本の詳細説明に目次が書かれているので引用する。

はじめに タガメ女とカエル男とはなにか
第一章 タガメ女に吸いつくされる男たち
第二章 カエル男を支配する女たち
第三章 タガメの娘はタガメ、カエルの息子はカエル
第四章 婚活ブームと「タガメ予備軍」
第五章 実例集 これが恐怖のタガメ女の生態だ
第六章 タガメ女とカエル男国家のゆくえ
おわりに 「箍」から外れて自分自身の感覚を取り戻すという生き方
はじめに タガメ女とカエル男とはなにか
タガメがカエルを捕食する姿と「結婚」の共通点・結婚という「箍」にハメて吸いつくす・高度成長期から増えた「幸せな家庭」という幻想
第一章 タガメ女に吸いつくされる男たち
・カエル男の特徴・カエル男度チェック・タガメ女に支配されたカエル男は他者を支配する・カエル男の道を誤った者たちの末路
第二章 カエル男を支配する女たち
タガメ女の特徴・タガメ女度チェック・社会から取り残される不安を「支配」で安心に変える・1日の大半は「育児をやっています」というアリバイ作り
第三章 タガメの娘はタガメ、カエルの息子はカエル
・世代間で再生産される「タガメ・カエルシステム」・「お父さんのようになりたくない」はずが、やはりタガメと結婚・「箍」をハズすことに罪悪感を覚える子どもたち
第四章 婚活ブームと「タガメ予備軍」
・都市部の20代女性が働かなくなったのはなぜ?・タガメ女が北海道に多いのはなぜ?
第五章 実例集 これが恐怖のタガメ女の生態だ
・ママカースト制、ママ友地獄……タガメ女たちの弊害・ママバッグやベビーカーで相手の「階層」を確かめる・奥様方の「子育てって大変」自慢大会・「私立幼稚園」という名のタガメ養成機構
第六章 タガメ女とカエル男国家のゆくえ
・家庭を支配するタガメ思想、社会を支配するカエル思想・見合い結婚が減ったのに「自由な結婚」は減った・タガメ女を日本中にバラまいた自民党の罪・「タガメとカエル」を成立させる「住宅ローン」・「カエルになりたくない」男たちの自己防衛本能・「逆DV」はタガメ女の暴走
おわりに 「箍」から外れて自分自身の感覚を取り戻すという生き方

推薦のことばでは、

「本書は現代日本における夫婦関係を学際的な見地から鋭く究明し、日本人はなぜ生活水準が高いわりには不幸なのかという謎を解き明かしたものです。男女問わず、結婚している人、結婚を考えている人にとっては必読書です」
チャールズ・ユウジ・ホリオカ氏 経済学者


「この新著は『魂の脱植民地化』という斬新な概念を取り入れ、戦後半世紀の日本像を今までとはまったく違った見地から描こうとするものです。これまで当たり前とされていた人生のあり方を改めて問い直すことで、当たり前が当たり前でなくなるのです。ぜひお勧めしたい」
別府春海氏 スタンフォード大学名誉教授(文化人類学)

と2人の分野の異なる学者がコメントしているが、『魂の脱植民地化』というのは興味深い響きのある言葉だ。


著者の深尾 葉子とは、どんな人なのだろう。プロフィールには、

1963年、大阪府生まれ。1987年、大阪市立大学大学院前期博士課程東洋史専攻修了。大阪外国語大学助手、講師、准教授を経て、現在、大阪大学大学院経済学研究科准教授。その間、国立民族学博物館共同研究員、東京大学情報学環客員助教授 、日本文化研究センター共同研究員などを兼任する。
主に中国内陸農村部における環境問題の社会的歴史的分析を手がける。福島原発事故後は、日本社会の共同体幻想の自壊を指摘し、「魂の脱植民地化」を提唱する。

と書いてある。中国内陸農村部における環境問題の社会的歴史的分析が専門のようだ。そっちもなんだか面白そう。


4/23に発売か。φ(`д´)メモメモ...