GOOD GRIEF-The story of Charles M.Schulz-(スヌーピーと生きる チャールズ・M・シュルツ伝)

 久しぶりに(?)厚みのある本を読みました。ページ数の話ではなくって、内容の話。ページ数自体は428ページとあんまり分厚い訳でもありません。
 実は子供の頃からスヌーピーは大好きだったのですが、当時の私はちゃんとピーナッツ(スヌーピーの出てくる漫画)を理解できていませんでした(子供だもん)。ただただぬいぐるみのスヌーピーが好きで好きで(笑)。本当にピーナッツのことを読み始めたのは大学生の頃。スヌーピーをネタにして心理学のことを書いてる本とか、神学を書いている本があって、それらの本を読んでる内に、「へ〜、ピーナッツってこういう漫画だったんだ。」と思うようになったのです。
 ただ、多くの愛読者達のようにチャーリーの憂鬱に共感したり、ルーシーの強さに苦笑したりするよりは、どこまでも可愛いスヌーピーのことを見ていたい読者です。どちらかというとチャーリーとスヌーピーよりも、スヌーピーウッドストックの関係のほうが素直にかわいくて好きです。
 でも著者のシュルツの伝記を読むと、様々な人生の悲哀からピーナッツの物語は生まれたのだなあということをしみじみと思い知らされます。赤毛の女の子の姿が決して描かれなかった理由とか、読んでると切なく。失恋の喪失感、仲良し3人家族の生活が20歳の時の母の病死によって終わった喪失感、シュルツはたくさんの喪失感を背負い続けながらその感情をピーナッツという作品へと昇華し続けてきたようです。また、大変真面目な人であったようで、シュローダーがおもちゃのピアノで演奏するベートーヴェンの楽譜は、正確に写されたものであり、セリフ中の聖書からの引用も一字一句まちがいがないそうです。酒は一滴も飲まず、生活の時間は彼の周りの人の時計代わりになるほど規則正しく。フランク・シナトラはかつて「歌う時に気を付けてることは?」と聞かれて「寂しさ」とこたえたそうですが、シュルツからも同じ要素が感じられます。全力の努力をもってしても、彼の巨万の富をもってしても埋めることの出来ない寂しさ・・・。
 例によって図書館の本(笑)なのでもうすぐ返しにいかないといけないのですが、もう何度か読んでみようかな。

スヌーピーと生きる―チャールズ・M・シュルツ伝

スヌーピーと生きる―チャールズ・M・シュルツ伝