以前にもほどがある

神戸新聞ですが、こんな社説がありました。
http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/010529ja5910.html

社説の主旨は、「昔当たり前であったことが最近当たり前でなくなっている」ということだと思うのですが、後半で引用されてるのは作家の向田邦子さんの発言。

http://www.d1.dion.ne.jp/~kusakusa/h/mukouda/mukouda.htm
無敵艦隊」という的を得た表現が何時のものだったかはわからないですが、向田邦子さんは昭和56年に飛行機事故で死去されているわけで、少なくとも23年以上前の発言になるはず。

読んだ側としては、「最近はこわいなあ」と感じるよりも「昔から自分勝手な人間が多かったんだなあ」と感じます。以前向田邦子さんが・・・と書かれていますが以前にもほどがあります。

 これが向田さんではなく、もっと大昔の人の発言、たとえばローマ皇帝アウグスティヌス帝とか、兼行法師とかの発言だったらより「時代が変われど人間の身勝手さは変わらない」というニュアンスが強くなりますし、逆に今年や去年に作家の誰かがした発言だったら「最近の世の中はこわいなあ、何かがおかしくなっちゃったなあ」ということになると思います。

その意味では向田さんの活動されていた頃は今とも昔ともつかない微妙な昔なのかとも思います。それとも向田さんの時代からあった傾向がエスカレートして今にいたるのか?でも新聞やニュースを調べれば、いつの時代にも酷い事件があったことは明らかです。

 なだ いなだ氏の「信じることと疑うこと」ISBN:448003157X

は「昔はよかった」式のマスコミの論調を批判した名著です。読んだことない人は是非読まれては。