此花区

 海が近いことは、開放感をもたらす。たとえそんなに水がきれいでない海であったとしても、なおそこには広々とした開放感があるのだ。某氏の此花区内のマンションのベランダから眺めた朝の風景は、爽やかで気持ちのよいものだった。芦屋や神戸に住んでいた頃は、よく早朝に海を見に行ったりしたし、御影にいたときは部屋から海が見えたので朝、昼、夜と表情の移り変わる海をぼんやりと眺めながら時を過ごしたこともあったのだけれども、今住んでいるのは海のない奈良県内なので、海を眺める機会はめっきり減ってしまった。久々に感じる海からの風は柔らかくそよぎ、過ぎ去った日々を思い出させるとともに覚えていたくない記憶もどこか遠くに運び去っていってくれるのであった。

p.s.某氏へ:泊めてくださりありがとうございました。