ナムカイ・ノルブの新刊(洋書)が3月に発売予定

Natural Perfection

Natural Perfection

 2009年には来日して東京でもリトリートを開いていた、チベット仏教ニンマ派のリンポチェ、ナムカイ・ノルブ(Namkhai Norbu)の
洋書の新刊が3月に発売されるそうな。直訳すると「ロンチェンパのラディカルなゾクチェン」というタイトル(ロンチェンパは人名)。
ロンチェンパで調べてみたら、中沢新一氏のウェブサイトが見つかった。
Dzogchen Institute Japan: テルマ巡礼 第二回 生きているロンチェンパより、ロンチェンパのエピソードを引用。

「ここに、ほれ、ここの穴の中にロンチェンパ様が座って、弟子を一人一人呼んで、自分の書いた本の内容を、詳しく教えてやったっちゅうよ。一人一人ていねいに、一時間も二時間もかけて、相手が完全に理解するまで、教えてやったそうだ。一人がすむともう一人と、大変な仕事だったろうけんども、ロンチェンパ様はもともと家の外で過ごすのがお好きだったから、少しもお疲れになることもなく、親切に弟子たちに教えてくれたんだそうだ。おかげで、ブムタンにはゾクチェンちゅうとても程度の高い教えが、しっかり根づいて、ロンチェンパ様がチベットに戻ってしまわれてからも、少しも途切れることなく、伝えられることになったっちゅうよ」。


 そしてこの男は、ここで少し声を落として、こう付け加えることも忘れなかった 「教えばっかしじゃあなくて、ロンチェンパ様はブムタンで幾人かのご子孫をも、お残しになったとも言うな」。


 私がその話を聞いてニコニコしていると、これは大丈夫そうだと思ったらしく、彼はさっきの話の続きをまたはじめるのだった。


 「あるとき、いつものようにロンチェンパ様がここに座って、弟子の一人に菩薩の道を教えていらっしゃるときのことだった。突然ロンチェンパ様の座っていたあたりにだけ、突風が吹いてきて、手にしていたお経の一頁を風に巻き上げてしまったんだ。ロンチェンパ様の著したそのお経は、風に運ばれて、あそこの、ほれ、向こうに見えるあの松の木まで運ばれていった。そして、驚いたことに、木にひっかかったお経の紙が、そこでぼっと火を放って燃えだしたっちゅうだ。その火はいつまでも消えなかった。驚いた寺の者たちが見守っていると、あたりが真っ暗になっても燃え続け、とうとう一晩中燃えて、明け方やっと消えていった。この一部始終を見ていたロンチェンパ様は、うれしそうに、こうおっしゃったっちゅうよ。あれは夜叉(ヌウイン)の仕業だ。私が毎日ああやって教えているのを聞いていて、すっかりうれしくなった夜叉が、ああやって自分の喜びを、私に知らせているんだ。まあ、そんな話はまだまだいっぱいある。どれ、向こうの岩のあたりにいくじゃん。そこではロンチェンパ様はな・・・」

おお、ロンチェンパとはなんとも神秘的な伝説の残る人のようだ。一体どんな教えを残されたのか、気になるおいらであった。