原発関連で新書コーナーが賑わっている今日この頃だけれども、
ちょっと手に取ってみて、そんなに面白い本かというとそうでもない本が多い中、
原発社会からの離脱――自然エネルギーと共同体自治に向けて (講談社現代新書)
は興味深い話満載の一冊であった。
お二人とも有名な方なので、著者についてあえてここで何も書かないけど、
かわりにお二人のtwitterアカウントを記しておく。
宮台真司 http://twitter.com/#!/miyadai
飯田哲也 http://twitter.com/#!/iidatetsunari
第1章 それでも日本人は原発を選んだ から、第7章 すでにはじまっている「実践」まで、全編対談形式になっていて、日本の行政官僚制の問題点や、思想と政治の貧困、自然エネルギーの促進のために必要な共同体のあり方等、難しいテーマであるにも関わらず、なんとかとっつきやすい形になっている。
前半部では、絶望的なまでに選択を間違い続けたまま、何も変わることなくここまで来てしまった日本社会という印象を強く受けて、気分が重たくなってしまうのだけれども、最後まで読むと、これから歩むべき道筋が見えてくるような気がしなくもない。
内容をまとめてみようかと思ったけど、分量ありすぎてまとまらない。
目次を写したほうが、簡潔だと気づいた。
まえがきー「原発をどうするか」から「原発をやめられない社会をどうするか」へ 宮台真司
1章 それでも日本人は原発を選んだ
2章 変わらない社会、変わる現実
3章 八〇年代のニッポン「原子力ムラ」探訪
4章 欧州の自然エネルギー事情
5章 ニ〇〇〇年と二〇〇四年と政権交代後に何が起こったか
6章 自然エネルギーと「共同体自治」
7章 すでにはじまっている「実践
あとがきーフクシマ後の「焼け跡」からの一歩 飯田哲也
体談の中で、飯田哲也氏がウルリッヒ・ベルクの「リスク社会論」(邦題『危険社会』法政大学出版局)を紹介されていて、これは読まなきゃいけない本だなと思った。
- 作者: ウルリヒベック,Ulrich Beck,東廉,伊藤美登里
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 1998/10
- メディア: 単行本
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そういえば、自転車のロードレースのツール・ド・フランスで7連勝したランス・アームストロングの著書のただマイヨ・ジョーヌのためでなく (講談社文庫)の原題は、It's Not About the Bike: My Journey Back to Lifeなのだけれども、この対談も、もちろん脱原発というテーマを語りながらも、"It's Not About the Nuclear Plants"という感じがする。再生可能エネルギーへの転換も、"Our Journey Back to Life"なのかもしれない。
共同体がどのようにこのテーマに関わるべきか、どのように共同体はあるべきなのかという問題が、ヨーロッパの自然エネルギー発展の歴史を知ることによって問われる。そしてその共同体の構成単位は私達一人一人の人間なのだ。
というわけで、新書300冊計画の25冊目でした。