新書大賞2012はふしぎなキリスト教

http://d.hatena.ne.jp/s_k_literacy/20120215/1329307900
によると、毎年中央公論から「新書大賞」なるものが発表されていて、
今年の大賞は、「ふしぎなキリスト教」だったそうです。

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)

見覚えのある書名だな〜と思ったら、当ブログでも取り上げたことがありました(笑)
ふしぎなキリスト教 橋爪大三郎 × 大澤真幸 - いんさいどあうと・あうとさいどいん

まず第1部で、起源としてのユダヤ教を中心に一神教ユダヤ・キリスト・イスラム教)を取扱い、
次に第2部で、イエス・キリストとは何かというテーマが論じられ、
そして第3部で、いかに「西洋」をつくったか、というところに話が移ります。


本の大部分は、大澤氏が問いかけて橋爪氏が答える形ですが、大澤氏の質問力も橋爪氏の回答力も、
理路整然としていてわかりやすいです。
いろいろ目から鱗な知識が多く、読んでよかったな〜と思いました。
「預言者」と「メシア」と「神の子」は何が違うのか、とか普通人が気にしないことまで突っ込んで解説。
「汝の隣人を愛せよ」の隣人って、仲良しの御近所の人などではないということも、某私立高校の宗教の時間では
聖書のその箇所を読んでおきながら、チャプレンの解説はありませんでした。


それから、ユダヤ人がなぜ、安全を保障してくれない神を信じ続けるのかとか、
全知全能の神がつくった世界に、なぜ悪があるのかとか、
「神の子」というアイデアはどこから来たかとか、
聖霊とは何かとか、カルヴァン派の予定説と資本主義の奇妙なつながりとか、
近代哲学者カントに漂うキリスト教の匂いとか、
興味深い質疑応答がずーっと続いて、退屈しないで最後まで読めました。



http://d.hatena.ne.jp/s_k_literacy/20120215/1329307900でも、

学術的な専門知識を手軽に取り入れられることもしくは話題となっている時事的な事柄への造詣を深めることの2つに新書の存在意義は集約されると思います。この2つを両方満たす新書こそ支持を得られるのでないでしょうか。そういった意味では、この書物が圧倒的な1位に選ばれるのは納得。「裁判員の教科書」の橋爪さんと「社会は絶えず夢を見ている」の大澤さんという、読みやすい文体で世の中をつづる稀代の社会学者2人の対談は、先の2つを満たす上で抜群の組み合わせなのかも。それもただ漫然と語るのではなく、きちんと周到に準備・構成ができているのが良いですね。

というふうに高く評価されています。なお、2位以降は全然読んだことのない本ばかり(苦笑)


好きな本と、世間で人気の本との間にギャップがあることが多いのですが、
珍しくこの新書については世間と自分の意見が一致したような不思議な感覚。


そういえば、新書関連の記事は全然更新してないぞ。また書かなくっちゃ。