新選組血風録を読むなど

 先日カレー食べてたときに面白いと話に聞いていた、新選組血風録

あれから図書館で借りて読了。

 新選組にはあまり興味がなかったのだけど、ゴールデンカムイで活躍する土方歳三永倉新八を見ていると、オリジナルの新選組のほうも幾分は知っておきたくなった。

新選組血風録新選組がテーマの短編集で、司馬遼太郎の小説らしく読み進みやすいが、元々昭和37年5月から12月まで「小説中央公論」に連載されていたものなので、ところどころ読みにくい漢字があったり、馴染みのない単語が出てきたりはする。単に舞台が幕末の京都だからということではなく、日本語が戦後も変化を続けてきたからだろうなと思う。

巻頭の「油小路の決闘」に始まり、当然ながら舞台はだいたい京都、時々大阪なので、馴染みのある地名が多く、親しみが持ちやすい。

一部で「司馬史観」などと揶揄される司馬遼太郎作品なので、これを丸ごと史実と思ってしまってはいけないのだけど、小説としての面白さには、やはりストーリーテラーとしての才能が際立っている。

司馬がこれを書くために京都に取材に行ったとき、幼少時に沖田総司に遊んでもらった老婆がまだ存命で話を聞くことができたとか、物語を書く準備自体が既に物語のようだ。

 個人的には「池田屋異聞」の山崎蒸に親しみを感じた。物好きな私の親戚が暇にあかせて調べたところ、私の先祖の一部も、山崎の先祖と同じく忠臣蔵の時に討ち入りをせずに赤穂藩を出た元赤穂藩士だったのだ。山崎蒸が、赤穂浪士の子孫であることを鼻にかけた嫌味な大高忠兵衛を怒りの剣でぶっ殺して、「将監さま。ご覧じろ」(将監は山崎の先祖)と叫ぶところなど、かなり爽快だった。