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「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 山田真哉

 2005年に、会計本の世界では有り得ないような売れ方をした、

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)

その続編として2007年に発売された、
食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉 (光文社新書)

食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉 (光文社新書)

そして2冊目のタイトルを3冊目のタイトルで自ら否定するという、なかなか粋な計らいのこの本。山田真哉の新書版会計本3部作、とでも言うべきだろうか。とにかくこの人はタイトルの付け方が上手であり、
ややこしそうなことを、可能な限りシンプルにわかりやすく書く能力に長けている人だ。
こういう人が高校や予備校で私の数学の先生だったら良かったのに、と思う。


確か、1冊目のさおだけ屋はなぜ潰れないか?は一度買って読んだ記憶があるが、
2冊目の食い逃げされてもバイトは雇うなは、買ったり借りたりして読んだ記憶はない。
著者が親切にも「前作を読んでない方でもこの本から読んで大丈夫です」と書いてあったのでそうしてみたけど、
確かにすらすらと読み進んでいけるわかりやすさはさすがだと思う。
簡単に書くというのは、簡単なことではないのだから。
第2章「天才CFOよりグラビアアイドルに学べ」では、ケーススタディとなる物語の後に、
ポイントがまとめられたノート的なページまであって、読者の理解を楽にしている。


各章の構成は、次の通り

第1章 数字の達人は、特に何もしない −数字のウソ
第2章 天才CFOよりグラビアアイドルに学べ −計画信仰
第3章 「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い ー効率化の失敗
第4章 ビジネスは二者択一ではない −妙手を打て
終章 会計は世界の1/2しか語れない −会計は科学

 第1章は、人を思考停止に陥れる数字のトリックの使われ方の話。手軽に悪用可能な技ばかり(笑)
第2章は、著者の得意なライトノベル形式。危ない橋を渡るCFO vs 公認会計士藤原萌美。
その後で、計画信仰の弊害が語られ、そこまで読んで、なぜ学ぶ相手がグラビアアイドルなのか?が
わかるようになっている。話の組み立てがやはり上手。
第3章、第4章が、前作のタイトルをあっさりと否定、まるで自らちゃぶ台を引っくり返すが如く。
AかBの選択を迫られているときに、「どっちだ?」と二者択一的思考法に陥ってしまうのではなく、
両方の問題を解決できる妙手を発見することが大事、という主張。実際の妙手が数例紹介されてます。


よく読んでみると、ビジネス経験ある方だったら、当たり前のことを会計用語を使って説明してるだけじゃないか、
と思う人もいそうな感じの本ですが、多くの人が知ってることと、多くの人が知らないことの絶妙な組み合わせが、
このシリーズを、会計本としてはかつてないヒット作にしたのだと思います。


まあ、こういう本読んで簿記・会計を勉強しようと思って、テキスト買って読むとたちまち眠たくなって
いまだに何の資格もとれず睡眠薬代わりにしかなってない私のような人間もいるわけなのですが、
テキスト一冊の代金で、何年も睡眠が保証されるなら、凄い費用対効果良いですよね!(おぃ)
というか、簿記の本読まないと眠れないことなんか、一年にそう何度もないんですけどね、元々。


以上、新書300冊計画の5冊目でした。