軽蔑 中上健次

 テレビ番組で熊野が特集されていて、内容は普通に熊野大社とか世界遺産熊野古道とか、まあありきたりな感じだったんだけど、それを観ている内に、そういえば昔EV.Caf 超進化論 (講談社文庫)村上龍が、熊野を舞台に小説を書いていた中上健次のことを高く評価していたよなあと、朧気な記憶の中から思い出した。


EV.Caf 超進化論 (講談社文庫)は今の私の本棚からは見つからなかったので、村上龍お勧めの作品なんかを確認することもできず、とりあえず面白そうなのから適当に読んでみることにした。まず映画化されてる「軽蔑」を読んでみようと。

軽蔑 (角川文庫)

軽蔑 (角川文庫)


 舞台は主に、新宿、六本木、そして熊野。
ダンサーの真知子が遊び人のカズさんと、新宿を出てカズさんの実家のある熊野に行くのだけど、
保守的な田舎の熊野では、真知子は思うように身動きがとれず、カズさんはヤクザと金銭的にトラブって…
互いに互いを愛しているのだけど、どちらの愛も激しく空回りと勘違いを繰り返して破滅していく感じ。


何度も「男と女、五分と五分」という真知子の言葉が繰り返されるけど、繰り返しすぎて陳腐化してる感。
92年に若者の2人の男女観ではなく、当時40代半ばだった中上健次の若い時の男女観に近いのではないかと。


まあでも村上龍が好きそうな感じというのは、わかる気がしました。
他の作品も、読んでみようと思います。