書店で見かけて、どんなことが書いてあるのだろうと以前より思っていたので、この度読んでみました。
- 作者: 姜尚中
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/05/16
- メディア: 新書
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- 作者: 姜尚中
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/06/15
- メディア: 新書
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「近代」というものが人間の営みをどう変えたのかを、ウェーバーから社会学、漱石から文学によって教わったと著者は書いています。
漱石やウェーバーが生きていた約100年前の時代と、今の時代がいろんな意味で似ていることが指摘されています。
夏目漱石は、私も小中高のどこかで読んだことくらいあるはずなのですが、こうして氏の夏目漱石についての解説を読んでみると、自分が全然夏目漱石を読んでいないか、もしくは読んでも読めていなかったか、あるいは読んだけど完全に忘却してしまっていたかのいずれかであることに気づかされます。
もしかしたら本当に、今だからこそ夏目漱石を読む意味があるというものなのかもしれません。
著者自身が現代社会の様々な事象について考察しているところも多いのですが、なんというか、悩みのツボ(笑いのツボみたいなものです)が自分と違いすぎて、「そんなこといちいち考えていたら、人生やってられないよ」と言いたくなってしまいます。ここで考え続けることを選ぶことができる人だから、学者や作家といった難しいお仕事で成功されたのだと思います。人から指摘も強要もされなくとも、こんなにたくさんのことについて自主的に悩むことができるということが、まさに「悩む力」なのだろうと思いました。体力や記憶力に個人差があるように、悩む力にもずいぶん個人差があるようです。
続・悩む力では、漱石とウェーバーに加えて、V・E・フランクル、逸脱資本主義、3・11後の日本、原発事故、ヤンネ・テラーの「人生なんて無意味だ」等の話が書かれています。この中で特に興味を惹かれたのが「人生なんて無意味だ」でした。
- 作者: ヤンネ・テラー
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2011/11/23
- メディア: 単行本
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テーリングという小さな町で、一人の少年(中学一年生)が、
「意味のあるものなんて何もないんだから、何をしたって無益だ」と学校に来なくなり、他のクラスメイトを挑発します。
「意味のあるものはある」と証明しようとするクラスメイトたちは、「意味のあるもの」を製材所の廃屋に集め、「意味の山」なるものを作ることにしました。
皆それぞれ「意味のあるもの」を持ち寄ったものの、最も大切なものは持ってこなかったので、とても少年を納得させられそうになく・・・
他の子のお気に入りを暴露し、それを差し出させるというネガティブな行動の連鎖が始まります。
死んだ弟の死体、トレードマークのおさげ、処女、教会にあった聖像、犬の首、本物の指一本など、意味の山に捧げるよう要求されるものもどんどんエスカレート。
挙句の果てに、自分たちがこんなひどいことをしなきゃいけなくなったのは少年のせいだとして、少年をリンチして殺し、「意味の山」もろともに焼いてしまいます。
8年後、少女が死んだ少年に向けて、「意味をいいかげんに扱ったりしてはいけないことも私は知っている(・・・・・・)そうでしょ?」と言うシーンで、物語が締めくくられています。
どうして少年は殺されなければならなかったのか?それについてこう書かれています(p.142〜p.143)
実は、彼らも、少年の言う通り、意味のあるものなんて何もないことなどとうに知っていました。しかし、それを認めるわけにはいかなかったのです。
なぜなら、人生で重要なのは何かに意味があるかないかではなく、「見栄えのいい何か」になって成功することで、そのためには意味があると思っているふりをするべきだと信じていたからです。だから、そこのところをあばきたてる少年を、どうしても黙らせないといけなかったのです。
「人生なんて無意味だ」を読んでみたくなりました。
新書300冊計画の42冊目と43冊目でした。この2冊についてはいろいろ書きたいことは残っているというか、この記事では何も書いていないに等しいのですが、時間がかかりすぎるので、この辺で。