最新世界紛争地図

 図解でとってもわかりやすい、一冊丸ごと世界中の紛争の本。

 出版されたのが2020年の本なので、ロシアがウクライナに侵攻して戦争になったとか、アゼルバイジャンアルメニアの紛争でナゴルノ・カラバフ共和国が消滅したりなどは掲載されていないのだけど、その時点としてはかなり網羅されている印象。

 ちなみにロシア/ウクライナについての「今後考えられるシナリオ」は次の3通りだと書かれています。

1.2019年5月に選出されたウクライナのゼレンスキー大統領が、力関係を変化させる。ミンスク議定書の内容は遵守される。憲法を改正し、東部地域の人々により多くの自治権を与えるだろう。ロシアに対するヨーロッパの経済制裁は解かれる。ロシア政府とウクライナの関係は正常化する。

 

2.ミンスク議定書は実行に移されず、ウクライナ東部地域に自治権を与えようとはしないため、武力衝突が散発する。ウクライナ汚職にうんざりしたヨーロッパは、ウクライナへの支援を減らすが、ロシアに対する経済制裁は続行する。

 

3.ウクライナ政府(西側からの武力支援を受けている)とロシア政府(西側からの反発を受けずに勝利しようと望む)のあいだの紛争が再び発生する。戦略がこのあとどう変わるかについては、無数の可能性が考えられる。

結果はご存じのとおり、3.になってしまいましたね。こんな大規模で長引く戦争になるという予想は書かれていなかったですが、紛争の再発生は想定されていたみたいです。いつ終わるのかな・・・

 中国/日本についても今後考えられるシナリオが書かれています。

1.中国の国力増大と、日中間の緊張の高まりにより、周辺諸国は日本とアメリカに接近する。日本は軍事力を増強する。

 

2.アジアにおけるリーダーシップをめぐって、中国と日本の競争が激化する。中国は一部のアジア諸国が持つ反日感情を煽って彼らを味方につけ、日本を孤立させ、アジア地域で主導権を握る。日本は態度を硬化させる。

 

3.日中両国は協力して地域の安定化に努め、それぞれが確実に繁栄の道を歩めるようにする。日本は過去に犯した過ちを認め、中国やASEAN諸国との和解が成立する。中国からは反日運動がなくなる。

 3になったらいいと思うけど、現実は日本が1中国が2を狙ってるような印象が強い今日この頃。今後どうなるのかな、平和な関係でいられますように。

ページをぺらぺらめくって眺めているだけでも面白いので、紛争の情報が好きな人には一読をお勧めできる本でした。