今頃「命の経済~パンデミック後、新しい世界が始まる」を読んだ

 2020/10/15に発売されたジャック・アタリの「命の経済~パンデミック後、新しい世界が始まる」を読んでました。

「コロナ渦後の今」という言葉も日常の会話でもよく聞かれるようになり、「ウィズコロナ」という冗談みたいなフレーズも、実際そこらここらにコロナにかかってる人が普通に社会生活してたりするようになって馴染んできた2023年10月の今、改めて読むのも面白いだろうと思ったのでした。

 読んでまず出てきたのが「あー、確かにあの頃はこんな感じだったなー」という昔々を懐かしむような感覚。2020はもう今昔物語みたいな世界ですね。そう、この本はあの頃の世界の様子を思い出させてくれます。ロックダウンとか水際対策とかで混沌としていた世界。

中国政府がcovid-19発生を隠そうとして対応が遅れて世界に広がって、韓国と台湾が独自のやり方で上手に対応したのに西欧社会が誤って中国モデルを追いかけて遅ればせながらのロックダウンを行い、あっちもこっちも経済が無茶苦茶になって・・・

中国モデルへの舌鋒鋭い批判から、ジャック・アタリの自由と民主主義への思いの強いさが改めて伺えました。

 また、ワクチン開発と治療薬への期待。当時世界は本当にコロナワクチンを待ち望んでいたのですね。今の論調とは大違いです。

それから、気候変動で気温が暑くなったら人間の免疫が落ちるのでインフルエンザが夏にも流行するかもしれないという話も書いてあって、先見性あるなーと思いました。まさに2023年の今起きていることですね。

 一方、著者の言う「命の経済」については、ほんとにそんな未来くるのかなーと思うところも結構あります。「元の世界には戻れない」を連呼するアタリ氏ですが、今となっては観光なんかかなり復活していますし、外したところは外したのかなと。とはいえ気候変動や独裁主義の危機にはちゃんと対応しないとほんとに危ないので、その辺は氏の警告に耳をもっと傾けてもいいのかもしれません。そして次のパンデミックに備えるということもしないといけません。権威主義的な監視社会にならないように気をつけながら。