墨子よみがえる

GW前に図書館に行き、雨の日に軽く暇潰し程度に読める本を探した。半藤一利の「墨子よみがえる」が目に止まったので、借りることにした。まあ地方の小さな図書館でなければ、また別の本を借りていたのだと思う。
墨子は中国古代の思想家で、非戦、兼愛、非攻などを説いた平和主義者。あまりよく知らないので軽めの本を借りてみた。
墨子の思想がわかりやすい言葉で平易に説かれているのだけど、著者が1930年生まれなので、いちいち日本の昭和史と絡めて説明され、まるでインテリ系おじいちゃんの話を延々と聞いているような気分になってくる。
ちゃんと孟子荘子による墨子批判についても紹介されているところがフェアで良い。
著者の名で検索してみたら、「ノモンハンの夏」、「昭和史1926-1945」、「昭和史 戦後編1945-1989」など書店や図書館で背表紙を見たことのある本が次々と出てきた。むしろ著者の文章に「墨子よみがえる」で初めて触れる人の方が珍しいのではないだろうか。
なお著者は2021年1月12日に御逝去されたとのこと。最晩年はどのようなお気持ちで日本社会を見ていたのだろうか。
著者の平和への願いを強く感じた一冊でした。

新書300冊計画の57冊目。