奈良あるある

 「奈良あるある」は、奈良県のご当地本。著者は漫才コンビ栗栖・中川の栗栖。
地域の特色を紹介しようとした本なのはわかるけど、内容は余り深みがない。
はっきりいって、ネットで済むレベルのことが多く、いい加減な記事も少なくない。
ウケ狙いな感じがあり、amazonのレビューでも酷評されていると言っていい状態。

著者は奈良県の秘境、十津川村の出身で、高校から村を離れて一人暮らし。
実家から高校まで3時間以上かかるからだという。新幹線の東京ー新大阪間以上の時間だ。 奈良市内に来たら、電車が走っているなど、奈良市の都会さに驚いていたという。

でも普通に東京や大阪や名古屋や京都を知っている人から見たら、奈良市が都会かというとそうでもなくて、たとえば奈良女子大生で東京に実家のある女の子は、夏休みになると「夏くらい一般社会に戻らないと普通の街のスピードに適応できなくなりそうで」と言って夏休みスタートと同時に東京に帰っていったりするという話を、私は奈良女子大生だった友人から聞いたことがある。奈良市が都会に見えることが凄いことなのだ。

なにしろ交通が不便すぎて、十津川村は関西なのに東京弁が話されている。

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だからこそ、わざわざ足を運ぶ価値があるところでもある。それに十津川村の源泉掛け流し温泉、思い出すとまた入りたくなるし、柿の葉寿司も奈良南部の方が北部のより美味しい気がするし。

そして、「奈良の美味は家庭にアリ!」というコラムでは次のように書かれている。

ちなみに「食」でいうと僕の子供の頃はおじいちゃんに、スズメ蜂の幼虫を食べさせてもらったり、蜜蜂を飼って天然の蜂蜜をなめさせてもらったり、「くぐつ」という仕掛けで山鳥を獲って食べさせてもらったりと、普通では食べない物も食べさせてもらった幼少期の記憶がある。

これは同じ奈良でも北部だと、そうそうさせてもらえない体験だと思う(柳生や月ヶ瀬の山奥ではどうか知らないけど)。私も全然そういう経験はない。その意味では著者は大変恵まれているような気がした。

栗栖さんには、奈良あるあるよりも、十津川村あるあるで本一冊書いてほしい。そういう気持ちになった一冊でした。

奈良あるある

奈良あるある

 

 新書300冊計画の47冊目でした。
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