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死ねばいいのに

死ねばいいのに

死ねばいいのに

 暑いから、外出やめて京極夏彦の小説を読んでいた。
「死ねばいいのに」は去年出版された本だけど、まだ読んでいなかった。
2ちゃんねるで使われるような軽い「死ねばいいのに」ではない。
小説の中で重要な位置を占める、重い意味を持ったセリフなのだ。
最後まで読むとはっきりする。


一番最後まで読んで、ようやく全てが腑に落ちるような書き方が、相変わらず。
一見馬鹿っぽく見える主人公が賢すぎて、現実的ではないという感想が、
ネット上のあちらこちらにちらほら。その通りだと思う。
学はないけれど、一つ一つの物事をしっかり考えているところは、
小股潜りの又市なんかとも少し近いところがあるような。
他の部分は全然又市とは違うキャラクターだけど。


一人目から六人目まで、京極夏彦はやはり人の心の闇を描くのが上手い。


人の話を聞いてるうちに、「死ねばいいのに」と思うことは自分にだってないわけではない。
「こんな嫌なやつ死ねばいい」じゃなく「いっそ死んだ方が楽なんじゃない」という意味で。
ケンヤのように、それを素直に言えないだけである。
言わないほうがおかしなことにならなくて良いと思っている。要は小賢しさなのだ。
だから、どこかケンヤやアサミの正直さが眩しく感じられるのだろう。