災害ストレス ―直接被災と報道被害

 これもやはり今年6/10発行で、東日本大震災の後に書かれた本。

著者の保坂 隆氏は、医長で看護大学の教授。
PTSD(post-traumatic stress disorder)、心的外傷後ストレス障害について専門の立場から詳細に解説されています。昨日このブログで紹介した、悲しんでいい 大震災とグリーフケアが、言うなればよりアナログな感じで、こちらがよりデジタルなイメージの災害ストレス本。あっちがより文系っぽくてこっちがより理系な感じの本と言ってもいいかも。


とはいえ、p.110の「具体的にどんなサポートが必要なのか」というところでは、

 何度も繰り返し話してきましたが、災害ストレスにさらされた人々と接する際に、忘れず心がけてほしいのが、
被災者の気持ちを否定したり、自分の思い通りにさせたりしようとせず、そのまま受け止めるという気持ち
●早急に結果を求めようとせず、気長に温かく見守る気持ち
●継続的に、根気よくサポートを続ける気持ち
と言った姿勢です。

と書いてあって、本質的にはどちらの本も言わんとすることは同じなのかな、と思ったりしました。


参考までに、各章のタイトルを引用しておきます。

序章 「災害ストレス」について考える
第一章 災害時や災害後に特有のストレス症状
第二章 災害ストレスをどのように乗り越えるか
第三章 ストレスに悩む人をどうケアすべきか
第四章 ストレスと向き合う基本的な考え方
第五章 知っておきたいストレス解消法

災害ストレスのせいで、平常時のその人であればしないようなことをしてしまうことも多いようです。一例を挙げると、感情を爆発させたりとか。そういうときに、災害ストレスがそういうことを人にさせることもあると知っていれば、その時にどう応答するかも、変わってくるかも知れません。


この本も、震災等で大きなストレスを受けた方、仕事やボランティア等で被災者と接触する機会のある方等にお勧め。


というわけで、新書300冊計画の33冊目でした。


災害ストレス 直接被災と報道被害 (角川oneテーマ21)