- 作者: 永峰英太郎;河岸宏和
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2011/06/10
- メディア: 新書
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東北の農家の方々が苦しんでおられる様子がテレビや新聞等から
報道されている訳ですが、その報道のされ方が、
彼らの姿を実際よりも弱く描き出してしまってはいないだろうかと、
そういう疑問がこの本において提示されている。
過酷な天災&人災に、自らの力で立ち向かおうとする、
農家の方々の強い意志が感じられる内容の本。
風評被害がどうのこうの言われる前に、放射能汚染の可能性が出た時点で自ら畑をつぶした有機農家。
取引先のレストランに、売れない理由を一軒一軒伝えたそうだ。
たとえアルバイトで生活することになっても、安全でないものは作らないし売らない。
もちろんいろんな農家の方々がおられるので、
この本でインタビューを受けた方々が総じて立派な方の農家の方々で
ある可能性は高いと思う。しかし安全・安心をいつも心に、必死に
過酷な状況と闘っている農家があることは、覚えておきたい。
危険か安全かわからないものは、とりあえず避ける人が多いと思う。
私もそうだ。だから、本当は安全なんだけど、危険と思われやすい地域の野菜は、どうしても損をしてしまう。江戸川区のビニールハウス栽培の小松菜等の例が挙げられている。せっかくハウス栽培で上からの降下物の影響を受けなかったのに、売れないと意味がない。もったいない話だ。確かに風評被害なのだが、買う方は買う方で自分の健康のこととなると必死になる。正確な情報の完全公開にしか、救いはないだろう。
この本では、国や県の定めた基準値以下であればOKという感じの文章になっている。
しかし実際には、日本の食品における放射性物質の基準値に対して、他国との比較してみると、ちょっと高すぎるのではないだろうかという声もある。ベクレル表示で買う人は買う、買いたくない人は買わない。そうするしか風評被害を避ける道はないのではないだろうか。
農家の方々に、「ご苦労様です」と言いたくなる一冊であった。
内容ぎっしりで紹介しきれないので、興味が強くおありの方は、どうぞ図書館で借りるか本屋で買うかamazonに注文するかしてくださいませ。
というわけで、新書300冊計画の31冊目でした。